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代表コラム|質問・対話コラム日付

「わからない」と
言える力。

聞くことも、自分で学ぶ力。子どもの一言を支える大人でありたい。

わからないことを、そのままにしない。誰かに聞くことも、自分で学ぶ力の一つです。

たとえば、説明を聞いたとき、周りがうなずいていると、自分も「はい」と答えてしまう。もう一度聞けば、練習を止めるかもしれない。聞いていなかったと思われるかもしれない。わからないことがあっても、言葉にするまでには、いくつかのためらいがあると思います。

私は、子どもたちに何でも一度で理解してほしいとは思っていません。それよりも、今の自分に何がわかり、何がまだわからないのかを大切にしてほしい。わからないところを言葉にし、学ぶために聞ける人になってほしい。そのためには、子どもに勇気を求めるだけでなく、私たち大人の関わり方も考える必要があります。

「聞いた」と「わかった」は、同じではない。

バスケットボールでは、説明の言葉を覚えていても、実際のプレーでどう使えばよいかわからないことがあります。動く順番はわかっても、どこを見るのかが曖昧なこともある。周りと同じように動けたからといって、本人がその意味まで理解しているとは限りません。

たとえば、コーチから「パスを出したら、空いている場所へ動こう」と言われたとします。動くことはわかっている。でも、場所の選び方がわからない。そんなときは、「パスのあとは、何を見て動く場所を決めたらいいですか?」と聞いてみる。コーチが一緒にコートを見て説明したあと、次の一本で自分も確かめてみる。

この質問は、正しい動きを教えてもらうだけではありません。自分が迷っていたところに気づき、次に何を見てプレーするかを決めるためのものです。質問を、次の挑戦につながる言葉にしてほしいと思います。

聞くことと、考えることをつなげたい。

自分で考えることを大切にしたいからこそ、私は質問を大切にしています。自立は、誰にも頼らず、すべてを一人で解決することではないと考えるからです。必要な説明を受け取り、そのうえで自分がどう行動するかを決めることも、自立の一部です。

一方で、教えてもらった答えを、そのまま受け取るだけでは、自分の学びにはつながりにくい。教えてもらったことを試す。その結果を見て、もう一度考える。思うようにできなければ、できなかったところを伝える。人の力を借りながら、自分の学びを自分で進めていく。私が育てたいのは、その姿勢です。

ただ、質問する前に必ず自分で答えを出そうとしたり、長い時間悩んだりする必要はありません。何から始めればいいのかがわからないなら、そこを聞いていい。年齢や経験によって、言葉にできることも違います。小さな子の「もう一回見せて」も、立派な入口です。少しずつ「ここまではできるけれど、ここで迷う」と伝えられるように、一緒に練習していけばいいと思います。

伝わるところまでが、指導する側の仕事。

体育館で、ボールを手にした選手と向き合い、動きを伝えるコーチ

「遠慮なく質問して」と言いながら、実際に聞かれたときに「さっき説明したよね」と返してしまう。それでは、子どもに何を大切にしてほしいのかが伝わりません。質問を歓迎するなら、聞いてくれた言葉を受け止める責任があります。

私も、わからない理由を子どもの聞き方だけに求めないようにしたい。言葉が難しくなかったか。一度に伝えることが多すぎなかったか。動きを見せたほうがよかったのではないか。説明したという事実だけで、自分の役割を終えないことが大切だと思います。

子どもが「何がわからないかも、うまく言えない」と話してくれたなら、そこから一緒に戻ればいい。どの動きで止まったかを見せてもらうだけでも、伝え直す手がかりになります。質問の上手さを、助けを受ける条件にしたくありません。

練習中、すぐに長い説明ができない場面もあると思います。その場合も、「この練習のあとに一緒に確認しよう」と伝え、約束した時間をつくる。聞いて終わりにせず、次に試すところまで支える。そうした応答を、私たち指導者が積み重ねていきたいです。

家庭は、もう一度聞きにいく背中を支える場所。

保護者の方には、まず子どもの頑張りを認め、褒めてあげてほしいと思います。結果だけでなく、続けていること、挑戦したこと、自分から聞こうとしたことにも目を向ける。その関わりを土台に、まだわからないことがあっても、また練習に向かえるように支えていただきたいです。

子どもがプレーの悩みを話してくれたとき、家庭で技術の答えまで出す必要はありません。練習で何を目指しているか、その子の動きが今どうなっているか。それらを見ながら技術を伝えるのは、コーチの役割です。親が別の答えを渡すより、本人がコーチと話し、理解を確かめる機会を支えてほしいと思います。

たとえば、「動く場所がわからなかった」と話してくれたら、「話してくれてありがとう。次にコーチに聞いてみようか」と受け止める。聞き方に迷っていれば、伝えたいことを一言にするのを手伝う。それだけでも、子どもが自分の疑問を持って練習へ向かう支えになります。

毎回、何を聞いたか、何と答えられたかを細かく確かめる必要はありません。聞くことを宿題にせず、本人が話したいときに話せる関係を大切にしたい。まだ一人で伝えるのが難しい子には、大人が橋渡しをしてもいい。そのときも、本人の言葉を待ち、少しずつ自分で伝えられる余地を残していけたらと思います。

コートを離れた先にも、持っていける力。

バスケットボールを続けていく中では、今までできていたことが通用せず、また学び直す場面があると思います。そのたびに、わからない自分を隠すのではなく、必要な人に聞き、自分でも確かめていく。その経験を、競技の中だけで終わらせたくありません。

いつかコートを離れ、初めての仕事や、新しい環境に向き合うときにも、すべてを知っている自分である必要はないと思います。知らないことを認め、信頼できる人に相談する。そして、教わったことをもとに、自分の次の一歩を選ぶ。そうして学び続けられる人になってほしいと願っています。

「わからない」と言えた、その先を一緒に考える。

子どもにそう伝える私自身も、わからないことを認め、人に聞き、学び続ける大人でありたい。子どもだけに求めるのではなく、私たちもその姿勢を持ちながら、成長をともに歩んでいきたいと思っています。

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