勝った日にこそ、
見つけたいものがある。
喜びを十分に味わったあと、勝利を支えた行動を見つけ、次の一歩へ。
勝った喜びを、次も自分たちの力にできるように。
勝った。うれしい。仲間と笑い合いたい。練習してきたことが試合で実を結んだ日は、その喜びを存分に味わってほしいです。頑張った子どもたちにも、そばで支えてきたご家族にも、まずは心から「おめでとう」と伝えたい。
そのうえで、私は勝った試合にも、次に持っていきたい学びがあると考えています。勝利を小さくするためではなく、このうれしい結果を、もう一度自分たちの手でつかめるようにするためです。
まず、喜びを十分に味わってほしい。
大人は子どもの先を考えるからこそ、試合が終わるとすぐに課題が気になることがあります。もっとできた場面。次の相手に向けて直したいこと。指導者にも、次に向けて見直したいところが見えることはあると思います。
けれど、子どもがうれしそうに話しているときには、まずその話を聴きたい。自分の得点を何度も振り返ってもいい。仲間のプレーを一緒に喜んでもいい。できるようになるまでの練習を知っている大人だからこそ、「あれを練習していたね」と、今日までの積み重ねも認めてあげてほしいです。
喜ぶ時間と、課題を考える時間は、分けていい。帰り道を全部、反省の時間にする必要はありません。試合の話をしたくない日や、疲れている日には、振り返りは後でもいい。勝利を受け取る時間を大切にしたうえで、気持ちが落ち着いたときに、少しだけ試合の中を見てみる。私はその順番を大切にしたいです。
スコアの奥に、もう一度できる理由がある。
スコアは試合の結果を教えてくれます。でも、どの準備が役に立ち、どんな判断や協力が得点につながったのかまでは、教えてくれません。「勝ったから、全部よかった」で終えると、次にも続けたい行動まで見過ごしてしまいます。
たとえば、ボールを持っていない仲間が動いて守備を引きつけ、別の仲間が空いた場所へ入り、パスを受けてシュートを打てたとします。外れたとしても、そこにあった周りを見る判断や、仲間同士の協力には、次も大切にしたいものがあります。反対に、空いている味方に気づかず、難しい体勢から打ったシュートが入ることもあります。その得点を喜びながら、ほかに選べたプレーも考えられます。
うまくいった結果と、うまくいくためにしたことを、両方見る。これは難しいシュートを打った子を責める話ではありません。何を見て、何を選んだのかを確かめ、自分の選択肢を増やすための振り返りです。
試合前に役割を確認したこと。練習で何度も合わせた動き。困ったときに仲間へ伝えた声。それらが試合のどこで使えたかをつなげて考えると、「よかった」で終わっていた場面が、次の練習で続けたいことになります。準備が足りなかった部分も含めて、勝利の理由を自分たちの言葉で確かめたいのです。
指導者は、目立たない働きにも言葉を届ける。
得点した選手だけで、勝利を説明することはできません。戻って相手の速攻を止めた選手。仲間のために場所を空けた選手。次の守備を知らせた選手。そうした働きを、指導者は見つけて伝える必要があります。
たとえば、振り返りで「よく頑張った」だけでなく、「シュートのあと、すぐ戻って相手の進む道を止めた。その間に仲間が守備に戻れた」と伝える。何が、どうチームの力になったかまで言葉にすれば、子どもは自分が続けたい行動を見つけやすくなると思います。
見逃した課題についても同じです。「もっと周りを見よう」で終わらず、どの場面で、何を見る準備が必要だったのかを一緒に確かめる。技術や戦術の助言は、指導者が責任を持って、次の練習で試せるところまで具体的にしたいです。
そして私たち指導者自身も、勝ったから自分の指示がすべて適切だったとは考えない。子どもが判断する時間を奪っていなかったか。準備したことを十分に伝えられていたか。選手だけに反省を求めず、大人も自分の関わり方を振り返る。勝利を次へつなげる責任は、指導者にもあります。
子ども自身の答えは、一つの問いから。
ご家庭では、まず子どもの頑張りを認め、褒めてあげてほしいと思います。得点や勝敗だけでなく、続けてきた練習や、仲間への行動を見つけて伝える。その関わりを土台に、本人が試合について話したくなったら聴いてほしいです。
問いを一つ置くなら、「今日の試合で、次も大切にしたいことは何?」。長い反省文も、全部のプレーの説明も要りません。自分のプレーでも、チームでできたことでもいい。大人の期待する答えに直さず、まずは子どもが選んだことを受け取りたいです。
理由がまだうまく言葉にならなくても、答えがすぐ出なくても大丈夫。技術的に分からないところが残ったら、「今度、コーチに聞いてみようか」と、確かめる機会につなげることもできます。自分で見つけた一つを、次の練習で試してみる。そのくらいの振り返りから、始めていいと思います。
高い目標と、相手への敬意を一緒に持つ。

Luminous Bloomは、「岡山を圧勝で制する・全国BEST4」を目標にしています。大きな目標に向けて、勝った試合の中にも、続けるべきことと、まだ磨けることを探していきたい。一つの結果に満足して挑戦を止めず、次に必要な準備を選べるチームでありたいです。
同時に、大きな点差は、相手を軽く扱う理由にはなりません。相手が最後まで続けた動きや、自分たちが対応に困ったプレーにも目を向ける。勝った側が上から評価するのではなく、同じコートで競い合った相手から学ぶ姿勢を持ちたいです。
試合後は相手に向き合って挨拶をする。仲間の働きに「ありがとう」を伝える。審判や運営の方、支えてくれた人にも感謝を言葉や行動で示す。勝利を誇ることと、試合ができたことへの敬意は、どちらも大切にできます。
自分の成果を喜び、その成果を支えた人や行動を見つけ、次に向けて自分ができることを選ぶ。私は、コートでそうした経験を重ねてほしいと思っています。スポーツを離れた場面でも、何かを成し遂げたときに、自分の努力を認め、周りの力に感謝し、また挑戦を始められるように。
勝った喜びの中に、これからの自分をつくるものがある。
今日の勝利を十分に喜ぶ。そして、次も大切にしたいことを一つ持って、また練習へ向かう。その一歩を、私は子どもたちと一緒に見つけていきたいです。

